留学生大学入試・合格体験記vol.1

touketsu.jpg 鄧潔(JIE DENG)さん。1985年生まれ。中国四川省綿竹市出身。高校1年生まで地元の学校に通っていた。高校2年から綿陽中学に転学し、学生寮で2年間を過ごした。高校卒業後、日本に留学。福岡の九州英数学館で日本語を学び、横浜国立大学マルチメディア文化課程に入学。現在は、慶應義塾大学メディア研究科で、食べ物の写真で異文化交流するソーシャルネットワークの構築について研究している。

【横浜国立大学マルチメディア文化課程合格】
【佐賀大学経済学部・千葉大学総合政策学科合格】
【慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科】

<日本に留学した理由>

海外留学のきっかけは大学受験の失敗です。友人と一緒に中国の難関大学に進学すると約束したために、高校2年生にときに進学率が高い高校に転学し、朝6時に起き夜11時に寝る寮生活を始めました。軍隊のような学校で、厳しくて競争もとても激しかったのです。

毎月全学年の成績に基づくランキングが発表されて、それによって学生の席が決められます。転学したばかりの頃は、成績がそんなに高くないので、教室の一番後ろに座らせました。私は背が低く、80人のクラスの一番後ろにいると、黒板すら見えません。前の席に移りたければ、成績をあげるしかないと思って、休まずに一所懸命勉強しました。結局、大学進学試験の前日に腎臓結石で倒れてしまい、試験も思った通りにうまく行かなったのです。そこで、海外の大学で、もう一回やり直そうと考えました。

日本を選んだ理由はふたつあります。一つは子供の頃にアニメを通じて日本が好きになって、その文化をもっと知りたいと思ったことです。もう一つは、当時、周りに英語圏に行く人が多くて、日本に行く人がほとんどいなかったことです。中国がこれからグローバル化すると、日本語ができる人も必要になると思ったからです。

<日本語学校時代>

日本語が話せなかったから、まず日本語学校に入りました。中国の受験勉強から解放された気持ちで一杯で、また、来日して何でも新鮮に感じ、最初の1年は友人と一緒に色々と遊びました。2年目になってからは、留学試験に追われ、日本語が全然できないまま遊んでいると帰国するしかないと危機感を持ち、慌てて受験勉強を始めました。

<留学試験受験>

〜日本語〜

高校のときに受験勉強の訓練をしたひとであれば、時間をかけて受験対策をしっかりやればある程度の点数が取れると思います。朝に2時間の日本語の聴解を行い、その後に沢山の試験問題を繰り返して練習すると、出題傾向がわかり、試験への対応能力も身につけることができます。

1年目にちゃんと勉強しなかったせいで、基礎が弱く、小論文にも結構苦労しましたが、生活の中で日本語を使いこなすのが最も難しいと思います。今でも、四川語の訛りを取り除いて、はっきりとした日本語でコミュニケーションがとれるように努力しています。

〜数学〜

文系出身なので数学が得意とは言えません。やはり多くの問題に触れて、練習問題を解くしかないと思います。

〜総合科目〜

世界史、地理、社会学を含めた試験の範囲は広すぎるので、結構戸惑いました。特に、歴史の人物と地方の名前が全部カタカナで書かれたことに対して、最初はすごく違和感を持ち、なかなか覚えられませんでした。文系の総合科目の対策として、ジャンルに拘らずに、普段から書籍を読むことと新聞を目に通すことが重要だと思います。

〜面接〜

基本的な質問は「なぜ日本に留学するのか」「なぜこの学校のこの専攻を選ぶか」「経済的負担は大丈夫か」の三つです。事前に練り上げた答えを用意するのが無難だと思います。

<横浜国立大学メディアデザイン文化課程>

二十歳になったら、学費と生活費を自分で稼ぐと決めていましたから、学費が安い国立大学しか受けませんでした。あまり深く考えずに、とりあえず興味が持てる学校を受験したのです。合格した大学の専攻はそれぞれ異なるので、最後の選択には悩みました。

両親からは、経済や法律を学べば、卒業後就職しやすいというアドバイスをもらいましたが、読書や映画鑑賞が好きだし、従来の文化とインタネット技術の融合に将来性を感じて、横浜国立大学のマルチメディア課程に決めました。文理融合の専攻なので、プログラミングから音楽、芸術、演劇まで広く勉強しました。2年次に、たまたま同じ学部の心理学科の授業を取り、人間の心理構造を分析するフロイトの精神分析に興味を持つようになりました。その後は、心理学科の講義も全部出席して単位を取りました。

バイトは週5回のベースでやっていて、授業が終わったらすぐバイトに出て、とても忙しい日々でした。勉強とバイトのバランスを取るのに精一杯で、サークルと部活に参加する時間がなかったのです。学校のキャンパスは森のある山の上にあったのでとても落ち着ます。バイトしないときは、ほとんど学校の図書館で過ごしていました。人生一度の大学生活なのに、もっと大学生らしい活動をやったらよかったと、多少後悔しています。

<慶應義塾大学メディアデザイン研究科>

大学4年間は充実して楽しかったのですが、勉強が広くて浅いと感じて、現実世界にアプローチできるスキルを身につけたいと思い、大学院へ進学することにしました。進学先を検討する際に、慶應義塾大学メディアデザイン研究科のリアルプロジェクトに魅力を感じました。

デザイン、テクノロジー、マネジメント、ポリシーの複合的視点から考えた提案を行い、それを主体的に社会に発信しながら検証する研究活動は、机上の勉強より面白いと思い、現在の研究科に来ました。現在は、各国の食べ物の写真をwebにアップして、食文化を通じて異文化間の相互理解を深めるソーシャルネットワークについて研究をしています。集めたデータベースから、人々のライフトレンドを抽出し、マーケティングへの応用も考えています。