帰国子女大学入試・合格体験記vol.55

interviewees_s_241_profile.jpg 洞樹玲杏さん。1990年生まれ。アメリカ合衆国カルフォルニア州トーランスで生まれる。Palos Verdes Peninsula高校に入学して多くの帰国子女に出会い、日本の大学に興味を抱く。高校2年生の後半で遅れながらも受験を決意して高校3年から塾に通い始める。慶應義塾大学経済学部入学。

【慶應義塾大学経済学部合格】


はじめに

私はアメリカで生まれ育ったため、英語より日本語の小論文対策に全力を注ぎました。そのため、一般の帰国生入試とはちょっと異なる受験体験かもしれません。

海外滞在時のアドバイス

私は日系の保育園に通いましたが、小学校や中学校はあまり日本人のいないコミュニティに置かれていたので、仲のいい日本人の友だちは高校まで出来ませんでした。このようなアウトローな立場に置かれていたため、日本人は他の人種と比べると、あまり社交的ではないことに気が付きました。

海外体験でのアドバイスは、現地の友だちを作ったり、日本人のコミュニティから離れて、アメリカの文化を肌で感じることです。帰国生の多くは、海外にある日本人コミュニティに同化して、あまり海外の生活を体験できずに終わります。積極的に文化的な差異を感じましょう。

印象深い出来事があります。現地の予備校の先生が「アメリカでの高校生活は楽しかったか?」と聞いたとき、多くの生徒が「日本の高校生活と比べれはつまらない」と答えました。自分の意志で海外に行ったわけではないにせよ、将来的には貴重な海外生活となります。少し残念な気持ちを抱きました。

授業は自分が興味を持った科目を積極的に取りましょう。高校は自分が大学で何を学びたいか考える貴重な時期です。私は12年生で経済学を学び、それを大学でより深く学びたいと思い志望を決めました。

そして情報収集は怠らないようにしてください。毎日少しの時間でもいいから、新聞や本を読んで世界の時事問題を把握しておいてください。日本で過ごした人たちと比べて、帰国子女には国際的な視野が求められています。

慶應大学の入試は、SATに代表される統一試験の点数で足切りがあります。どんなに面接が上手でも、どんなに小論文が書けても、それらが評価される二次試験に辿りつかなければ合格できません。慶應を目指しているのならば、最低点の突破ではなく、SATで2000点以上を目指しましょう。「帰国生だと難しいのでは?」と疑問に思うかもしれませんが、韓国籍の友人はアメリカ生活が2年で2300点を突破できたのです。すべては努力次第です。

SAT対策

SATはWriting, Reading, Mathの3つのパートに分かれています。この中で一番点数を稼ぐことが出来るのはWritingです。韓国系のSATの塾に通っていたときに、Writingはすべてパターンだと学びました。ろくに英語を話すことができない韓国人の友人でも、SATをパターン化して形式を覚え、みな2000点以上取っていました。

<Writing>

Writingの問題を解く際に、文法ミスのパターンを50個程度に分けて覚えれば、それらがすべてどれかに一致することがわかります。SATの公式の対策本などを手にとって、数をこなしてパターン化して覚えましょう。最初は難しいかもしれませんが、数をこなしているうちに、出題のパターンが摑めます。

Writingの論述の部分は、テンプレートを使い、学校で紹介された小説などを例として挙げます。よほどの文才がない限り、テンプレートを使う形式が無難です。パラグラフ1ではトピックを紹介して、パラグラフ2、3、4に書く内容をまとめて、Thesis Statementで締めます。Body Paragraphには、有名人の体験や名言を入れつつ、小説のメッセージで例文を作ります。

<Reading>

Readingのセクションは主に単語力です。SAT用の単語をひたすら覚えろというアドバイスしかあげられません。数をこなしていけば、問題は単語の使い回しだということに気づきます。Readingは主に読解力を試されるため、あまり高校時代に読書をしなかった人には難関だと思いますが、努力で読解力を鍛えあげてください。

<Math>

Mathのセクションは満点を取ってください。Mathの問題で満点を取れるか取れないかによって、2000点の壁を突破できるかどうかが決まります。ちなみに私はMathが760点で1990点でした。間違えた問題は、2度と間違えないようにと誓いを立て問題をすべてノートに書き写して復習を徹底しました。計算機を使って問題を解くことができますが、簡単な暗算は計算機なしで答えられるようにしましょう。

TOEFL対策

TOEFLの対策は、SATの対策をしているうちに自然と能力がつくために、あまり必要がないと思います。しかし、TOEFLにはスピーキングのセクションがあります。かなり厳しい時間制限がある中で、アドリブも準備して話さなければならないために、事前にテスト形式を覚えて練習をした方がいいと思います。私もアドリブが苦手なため、スピーグではかなり苦労しました。

二次試験対策

<小論文>

アメリカでは予備校の夏期講習に通いました。漢字の能力をつけるために毎日漢字のテストを受けて、小論文を書くためのネタを集めて800字程度の小論文を書けるようにしました。毎日先生方が熱心に対応してくれるために、メキメキと日本語力が伸びました。しかし、それは他の帰国生とはまだ比べものにならないため、他の生徒より遅くまで居残って必死に勉強をしました。

小論文は「書く→添削される→書き直す」のパターンですが、評価がひどくていつも落ち込んでいました。800字程度の日本語の小論文ですら、受験するまで書いたことがなかったのですが、ネタとして使えるテーマを揃えていたので、ある程度書けるようになりました。しかし、1200字の小論文だと3時間近くかかってしまうこともあったため、優先順位を付けて課題にとりかかりました。

<面接>

面接の練習は徹底的に日本の礼儀作法を叩き込まれました。ドアを閉めてからお辞儀をするか、閉める前にお辞儀をするか、細かいことを他の受験生と議論していました。また、面接に対しての回答を瞬時にできるよう鍛え上げました。「なぜこの学校を選んだのか」とか、「なぜ〇〇学部なのか」とか、基本的な質問に答えることができないと落とされます。

面接の要となるのは、面接の場の「空気」を自分のものにすることです。単純に質問に対して答えるだけではなく、質問を返したりして、自分が本当に関心をもっていることをアピールすることが重要です。面接官の視点から考えると、面白い考え方や自分の主張をはっきりとする生徒を合格させたいと思うはずです。

最後に

帰国受験出来る立場は恵まれているということを絶対に忘れないでください。受験費用だけでも相当な金額になるため、経済的な理由で受験を断念した友人もいます。私は経済的に受験する余裕があり、塾の講師にも恵まれていたため、無事合格することが出来ました。このため、私はいつも「自分は恵まれている立場にいる」と自覚して、支えてくれている方々への感謝の気持ちを忘れたことがありません。

この受験体験記がこれから帰国受験をするみなさんに少しでも役に立てば嬉しく思います。自分の目標に向かって頑張ってください。応援してます!