帰国子女大学入試・合格体験記vol.60

interviewees_s_60_profile.jpg 伊藤耕平さん。1989年埼玉県生まれ。1歳からシンガポールで過ごし、5歳で帰国。中学1年の夏に再度シンガポールへ渡り、中学・高校時代を過ごす。高校卒業後帰国し、立教大学へ入学、現在経済学部3年に在籍。開発経済学に興味があったため、現在はアジアの開発経済のゼミに所属し、行政機関やNPO団体等に研究発表等を行っている。

初めに

私は海外にいるとき、大学受験のことをまったく意識せず生活を送っていましたし、まったく対策を行っていませんでした。この期間が大学合格の差を生みます。この体験記を読んだみなさんが、最終的に「後悔しないよう頑張ろう」と思ってくだされば幸いです。

海外生活

滞在先にいるときにすることは、とにかくその環境を楽しみ、色んなことに挑戦することです。帰国生の中には、海外の大学に受験する人もいると思いますが、帰国入試を受験する人は、それからずっと日本にいることになりますから、やり残したことがあると後戻りができません。やろうと思ったことはすべて挑戦すべきでしょう。そのときの挑戦や体験が面接での自己アピールに繋がります。

また、そうやって様々なことに挑戦し人として成長していくことは、大学受験云々とは関係なく、これからの人生において壁にぶつかったとき、自分に乗り越える力を与えてくれるのは言うまでもないでしょう。

色んな本を読んでおくということも大切です。活字や漢字に慣れることは、試験科目である現代文や小論文を書く上で大切なことです。読んでいた本の著者の文章が試験問題として出されたこともありました。日々の勉強が不可欠ですが、試験中に「この人知ってる!」と思うことで、試験独特の緊張から解放され、余裕を持って試験に臨むことができました。

統一試験

受験対策として具体的に何をするか説明していきます。それぞれの大学はそれぞれの審査基準を持っています。例えば、東京大学や慶応大学はTOEFLやSAT・SATⅡ等の統一試験のスコアや学校の成績を重視する傾向があります。他方、MARCHや早稲田大学、一橋大学は、帰国入試の成績の良し悪しを重視する傾向があります。

私は海外に滞在している期間にそのような情報を一切持っていなかったので、慶応大学や東京大学を受験する資格を持っていませんでした。今でも後悔していますし、後にそれが就職活動にも影響を及ぼしていくので、後悔しないよう生活してほしいと思います。つまり、慶応や東大に行きたいなら、統一試験対策も一所懸命やりましょう!

帰国後の受験対策

上記の理由と私が文系受験をしたことから、説明するのはMARCH、早稲田大学、一橋大学の対策ですが、慶応大学や東京大学を受験する人も統一試験や学校の成績の評価を高くしておくこと以外、やることは大体同じです。試験科目は、小論文、現代文、英語だけで、大学によって試験のレベルと競争率が違うだけです。例外としては、早稲田のAOには数学があります。

~漢字~

まず、漢字は必ず暗記しておくべきでしょう。以下で説明しますが、漢字はすべての科目に関わってきます。また、早稲田大学の試験には必ず漢字の問題が出ます。暗記さえすれば取れる点数は必ず取りましょう。

~英語~

英語は海外の滞在年数が長ければ長いほど良いというわけではありません。むしろ、それが逆に足かせになる場合もあります。なぜなら英文の要約があるからです。英文の要約はポイント制で、簡潔に、的確にまとめなければならないため、日本語の文章をうまく書く必要があります。漢字の勉強を怠っていると、漢字が書けずに文章が長くなりすぎたりするので気を付けましょう。

~小論文~

僕が初めて予備校で小論文を提出したとき、「きみのは小論文ではなく作文だ」と言われてしまいました。テーマは「海外生活で学んだこと」で、内容はひたすらどんな出会いがあって、どんな出来事に感動したか、そしてこれからどうして行きたいか等でした。つまりYear Bookの自分のコメント欄に書いたようなことを800字もだらだら書いたわけです。

そんなことでは点数はもらえません。あくまでも論文ですので、序章があって、具体的な問題提起や解決方法の提示等を経て最終的な結論という骨格が必要です。そして、その骨に肉、つまり、具体的な問題分析や解決方法の事例をつけるという作業が必要になります。

骨格を作るのは誰でもできるので説明しません。肉付けをするには、色んなカードを持っておく必要があります。小論文の問題の内容は毎回違いますが、ジャンル分けはできます。例えば、医療関係であればコレ、環境関係であれはコレ、自分でカードを沢山作っておけば、どんな問題にも良い小論文が書けるようになります。

カードの作り方は様々ですが、現代文でやった要約をそのままカードにするのも一つの手です。また、予備校の講師に新聞や本を読めと言われると思いますが、それもカード作りのためです。あとは、漢字の勉強をしておきましょう。文章に漢字が少ないだけで印象が変わってしまいます。

~現代文~

現代文に関しては、ひたすら要約を提出してやり直すという作業をくりかえしましょう。

最後に

私が最終的に受かったのは立教大学の経済学部でした。しかし、周りの友達が通った学校は、大体早慶上智や国立の名門大学ばかりでした。悔しさのあまり、大学の入学式を終えたすぐ後、その足で予備校を回りました。志望大学は帰国受験が1度しかできなかったので、一般受験を考え一般枠で予備校に通いました。しかし、予備校のコース選択試験は通るものの、他の一般の科目が山ほどあり、とても大変でした。

帰国受験は恵まれています。こんなチャンスはめったにないので、今だけ頑張れば一発当てることができます。だからどうか、後悔のないよう受験生生活を送ってください。そして、帰国生の予備校でできる友だちとは、違う大学に通っても、社会人になっても、付き合いは続く傾向にあるようです。そのときの友だちを大切にしましょう。