活動報告 「世界の学校から」vol.28 岡村美佳

東京大学総合文化研究科修士2年に在籍の岡村美佳さんに、ご卒業されたロンドンの私立ミッション系女子校をご紹介いただきます。Marymount International School of London (MMI)は、ロンドン中心から北西方向25kmの郊外にあるミッション系の女子校です。テニスで有名なWimbledonに近いSurrey州にあり、多くの公園や建物、木々までもが国の保護下にある、自然豊かな環境です。また、ニューヨーク、ロサンゼルス、パリ、ローマに姉妹校があります。

岡村美佳さん。1986年東京生まれ。4歳から8歳までの4年間をアメリカのニューヨーク・カリフォルニアで過ごし、日本に帰国。中学1年生のときに、今度は イギリス・ロンドンに渡り、5年間過ごす。Marymount International School of Londonを卒業後、日本に帰国し、06年に東京大学理科Ⅱ類に入学。教養学部生命認知科学科を卒業後、東京大学総合文化研究科に進学し、現在修士2年。大学では、酵母を使ってDNAの転写・組み換え機構について研究を行っている。

活動報告

Marymount International School of London

MMIは6年生から12年生の全校250人程という、日本の学校の一学年にあたる人数の規模でありながら、多い時には50を超える国の人が集まっている、国際色豊かな学校です。治安のよい地域である、ESL(English as a Second Language)の環境が整っている、受け入れの器が広いという理由から、日本人生徒の数も多いです。寮がキャンパスに併設されており、留学という形で来る生徒もいます。毎日通学するDay Student、平日のみ寮で暮らす5 Day Boarder、そして、7 Day Boarderがいます。

学業について

MMIが日本人に選ばれる大きな理由が、IBのJapaneseの授業です。IB Japaneseは、日本の国語とは異なり、とにかく書かされます。高度な文学を分析・解釈し、コメンタリーという評論文のようなものを書きます。日本語教育の短い人にとっては特に大変ですが、10年生からIBに向けて鍛え上げられ、日本にいる以上によい日本語教育を受けられるという定評があります。今では9年生から履修でき、多くの文学に触れ、書くスキルもレベルの高いものが身に付きます。IBの点数はもちろん、日本での受験にも大きな力となります。

授業は、先生一人に対して多くて15人程度。先生の話を聞くのではなく、それぞれが授業に参加している感覚を持ち、積極的に発言、質問します。EnglishやReligionでは、中学の段階から自分の考えを持って意見を述べたり、熱い議論が飛び交ったりと、日本の授業ではなかなか経験できないことも多いです。多様な経験と背景を持つ仲間に囲まれているので、突飛な質問が出たり、各国の国で知識が得られたりと、日々様々なところで多様性の豊かさを身に染みて感じることが出来ます。

ただし、MMI全体は正直あまりアカデミックな学校とは言えません。勤勉なのは、いわゆる一般的なサラリーマン家庭からくる留学生やその他駐在員家庭出身者くらいで、それ以外は、アラブの超大金持ちや王族といった富裕層が多く、いい大学へ行こうとか、偉くなりたいとか、そういう意欲に欠けた空気が漂っています。

国際性&多様性

文化の多様性にはマイナス面もあります。

私はシーズンごとにスポーツチームに属していました。1年を通して同じスポーツをやるわけではなく、トライアウトを行い大会に向けてチームを結成します。明確な目標も定まっており、日本の部活ほどに練習時間も多いわけではありません。私は日本人的感覚の持ち主でしたから、それこそ限られた練習時間を本気でやろうと考えていました。

しかし、チームに対する責任感やコミットメントは人様々で、練習には遅刻する、遊びに行きたいからとサボる、私は度々苛立っていました。もちろん個人差はあると思いますが、そこにはある程度国籍や文化で分類できる傾向が見られました。そうした多様性を受け入れる心も必要だと、気持ちを抑えていたこともあります。

でも、そうした切迫感のない雰囲気だったからこそ、いじめがまったくなかったのだと思います。規模が小さい中で色々な人がい過ぎて、「違う」「変わっている」ということが話題に上りませんでした。国境、海を越えた人間の繋がりが構築できる環境があった学校だと感じます

MMIの宗教色

学校自体はミッション系で、基本的にカソリックの暦でお祝い事などを行います。しかし、学生に宗教を押しつけるようなことは一切なく、イスラム教徒、仏教徒、他のキリスト教信者も受け入れています。Religionの授業でも、カソリックの教えを学ぶというよりは、宗教を比較したり、その思想を学んだりしました。

イスラム教では年に1回、ラマダンの1ヵ月、断食の義務があります。日の出から日没までは一切物を口にすることが出来ず、その代わり日没から日の出までに1日分の食事を取らなくてはなりません。ただ、寮生はその時間が学食の時間外であったりすると、ちゃんとした食事を摂ることができません。その間は、イスラム教徒の生徒用にと、学校側は決まった時間に食事を用意して食堂を解放します。

また、昼食を食べられないので、ラウンジで昼休みを過ごす生徒たちがいます。そういう時にラウンジで食事を取ろうとする生徒がいれば、気を遣って周りから違うところで食べるよう注意する声が上がります。

カソリックの考えが、他の信仰や個人の選択を尊重する精神にこそ反映されていた一例で、いい学校だと思う要素です。

ボランティア活動

カソリックの学校なので、ボランティア活動も盛んに行われます。定期的にベイクセールを行ったり、私服デーを行ったりして、学年ごとに募金活動を行いました。お菓子も売りますが、日本食がとても人気があり、おにぎりを作っていったこともありました。

私が9年生のとき、Maliに井戸を作ることがその年の具体的な目標になりました。Maliのある村にある修道院の先生と校長のシスターが企画したもので、学校の終わった夏には、私たちの集めたお金で企画が実行されました。翌年には、クラスメート2名が学校を代表してMaliの村を訪れ、私たちの成果を実際に目にしてフィードバックしてくれました。

ベイクセールやチャリティーイベントをやっているときは、企画するのは面倒だし、お金も掛かって嫌だなと思うのですが、出来上がった写真を見て、その村の人と交流している友人をみたとき、ある種の達成感を抱いたのを思い出します。もちろん一人では出来ないことで、学校の組織があってこそ、遠いアフリカの国にちょっとしたことが出来たのだと、少しいい気分になったのを覚えています。

最後に

器の広い学校なので、誰でもがそれぞれに合った環境を作り出すことのできる学校です。私は中高5年間MMIで過ごせて本当に良かったと思っています。最も多感な思春期に、色々な視点を日々の生活から学ぶことが出来たからこそ、今の私があると思います。MMIありがとう!

Marymount International School of London (MMI) :
http://www.marymountlondon.com/
帰国子女大学入試・合格体験記vol.38
http://www.rtnproject.com/2010/06/vol38_2.html