海外生活体験者・学生インタビューvol.135

interviewees_g_135_profile.jpg 神野周一郎さん。1983年埼玉県生まれ。高校卒業後、激動の半年間経て、株式会社プロシーズに入社する。2年間勤務した後に、千葉大学工学部都市環境システム学科に入学。在学中に、米国ウィスコンシン州とドイツに交換留学する。現在、千葉大学大学院工学研究科荒井幸代研究室に在籍し、「ネットワーク構造と口コミ特性を考慮したキャズム生成モデル」について、日々研究に没頭している。

ネットカフェでフリーター生活する

―卒業式以来ですね。本日はインタビューよろしくお願いします。

そうだね、よろしくお願いしますね(笑)

―神野さんとは、千葉大学工学部都市環境システム学科の、同じ都市情報工学領域の研究室に所属していました。なかなか波乱万丈な人生を送られているとのことでしたが、留学された経緯などを含めて、経歴を教えていただけますか??

これまで自分のことを語る機会はあまりなかったけど……。なかなか長くなりますよ(笑)

―よろしくお願いします!

高校卒業後は、親の職業が医者だったことから、医学部受験を2年間続けました。その受験生活も2年目に入った頃から、将来について悩み始めて、とにかく一度家を出ることにしました。家を出てからは、ここ津田沼駅近くの「ネットカフェ」でフリーター生活を始め、そこの店長から「コンピュータ」について色々教えてもらったことで、コンピュータに興味を持ちました。

その後、ネットカフェのバイトでかなりの額を貯金して、国内のカルチャースクールでWebデザイン、イラストレーターやフラッシュの勉強をしました。それと同時に、就職活動をして、eラーニングコンテンツ製作やシステム開発などのサービスを提供している株式会社プロシーズに内定をいただきました。家を出てから半年後には、入社することになりました。

入社後はコンテンツ制作を中心の業務行っていましたが、徐々に「コンピュータ」に関する勉強に専念したいという気持ちが強く芽生え、特にコンピュータに関する教育が進んでいる米国に留学して、現地で勉強したいと思うようになりました。

千葉大からアメリカ、ドイツへ留学する

―英語をメインで学びたいというのはなかったのですか??

もちろん、ありましたよ! コンピュータも、英語も、将来的に理解を深める必要性は感じていましたし。ただ、手段として、直接米国に留学することも可能だったのですが、現実問題として、資金を工面することが困難であったため、国内の大学に入学し、学業とアルバイトを両立し、交換留学することを目指しました。そして、「千葉大学工学部都市環境システム学科Bコース」に2007年度入学しました。

―それで、アルバイトに専念しても、学業と両立可能なBコース(夜間)に入学されたのですね??

そうです。大学1年目はアルバイトで月々約10万円を稼ぎ、留学資金を貯めると同時に、TOEFLゼミナールに通い、交換留学の認可を得るための試験に備えたというわけです。ただ、本当に驚くと思うけど……、1年生の時点でのTOEICは390点、TOEFL(iBT)は15点でしたよ(爆) そこから死ぬ気で勉強して、2年生の秋にはTOEFLは約70点に上がり、何とか面接もパスしまし

―交換留学認可のための面接は大変でしたか??

面接は10分程度で終わりました(笑) 千葉大学では、交換留学の人気があまりなかったのもありましたけどね。自分自身の目標が明確だったこともあり、さほど大変ではありませんでした。交換留学も、2年生が終わる頃には正式に決定しました。期間は、2009年9月から2010年5月の予定で、留学先は米国のウィスコンシン州ミルウォーキーにあるUniversity of Wisconsin-Milwaukeeになりました。

―面接後から、留学するまではどうでしたか?

コンピュータと、英語から少し脇道に反れて、ドイツ語に手を出しましたね(笑) もちろん英語は継続的に勉強していましたけど。ドイツ語を勉強していたことで、米国に留学期間中、さらにドイツに交換留学することになりました!(笑)

―そうなんですか?! かなりモチベーションを高いところでキープしていたんですね。では、米国での留学生活はどうでしたか?

充実していましたよ! 僕らが所属している学科では、情報工学領域と言っても、幅広く学習するカリキュラムになっているでしょ? だから、かなり深く学べたと思いました。それに、英語の理解に苦しんでも、就職していたときの経験が活きて、理解することは可能でしたよ。ドイツへの留学も、交換留学制度を利用して、ちゃんと単位認定してもらいました。

勉強以外だと、友人との交流は頻繁にあったので、本当に楽しかったですね。ウィスコンシン州は白人が多いことで有名ですが、白人以外だと「モン族」の友人ができましたね。

―モン族とは……?

モン族は、東南アジアに住む少数民族のことで、タイ人だと思って仲良くしていた友人が、実はモン族だったということがありました(笑) 話は少し戻りますが、アジア人からはもちろんですけど、白人からも学業に支障をきたすほどの差別を受けることもなく、それにドイツへ留学することもできて、本来目的としていた英語、コンピュータ関連の学習も、周囲に日本人がいないことでかなり集中してできたと思います。

―それほど充実した生活を送れていたのであれば、現地に残るという選択肢はなかったのでしょうか??

もちろん、自分も含めて海外留学された方々は、「残りたい」という気持ちはあったと思います。ただ、現実問題として、期限が決まっていたため、帰国することにしました。それと、大学院進学となると、あまり現実的になれなかったのかなと思います。まず、千葉大学でできることをやるのも手段だと考えましたし、海外留学なら、また千葉大学を卒業してからでも可能だと。

純粋に研究が楽しいと思っている

―そうですね。そうしましたら、次に帰国後の研究室生活について教えていただけますか? ぜひ、某A井教授についても語っていただけたら幸いです(笑)

そうだね(笑) そもそも、A井研究室は、A井先生抜きでも、研究室に所属している学生からかなり質の高い発表や資料を求められますね。他の研究室と比較しても、モチベーションが違うと思います。そういった観点から、考えもなく発言をすれば、研究室のありとあらゆる方向から非難を受けますし、隔週で順番が回ってくるゼミでの発表資料作成は全く油断できないです。でも、やはり厳しい環境に身を置くことは、自身にとって大きなプラスになるので、交換留学からのA井研究室での日々は貴重な時間です。

―なるほど。確かに私も、A井研究室のモチベーションの高いメンバーに囲まれた研究生活は羨ましかったです。それでは、神野さんは現在どのような研究をおこなっているのですか??

研究のキーワードとして、「キャズム」があります。まず、イノベーションの普及伝播のモデルとして、イノベータ理論と呼ばれるものがあります。イノベータ理論では、特定様式が流行する過程において、その社会を構成するメンバーを5つに分類します。その中に属するアーリーアダプタとアーリーマジョリティとの間には、ハイテク産業の分析から、容易に超えられない大きな溝があることが示されていて、これがキャズムと呼ばれています。

これは、アーリーアダプタは新しいイノベーションを取り入れることで変革を求めることを望む層であるのに対して、そこに続くはずのアーリーマジョリティは生産性の改善を望む層であり、お互いが異なる目的を持つことが原因で発生すると考えられています。

このようなアーリーアダプタの性質と、アーリーマジョリティの性質を考慮した上で、ネットワーク、意思決定、利得行列を用いてシミュレーションを行い、キャズムの再現、およびその解消を目指すのが私の研究になります。

―なるほど。神野さんの研究内容は、何度聞いても理解するのには苦労しますね。研究以外での研究室生活で、印象に残ったことや考えたことがあれば、教えていただけますか?

純粋に研究が楽しいと思っているので、徹夜することや、A井先生から怒られることは苦ではありませんでしたしね。これからもならないと思います。大学入学後から心掛けていることでもあるのですが、社会人の頃と近い生活スタイルで、日々過ごすことを努めています。生活リズムを確立しておくことによって、物事を確実に、そしてスムーズに進められていると思います。

今後の予定として、理想を言えば、研究者として生活していきたい願望はあります。ただし、選択肢としては、現状、現実的ではないようにも思えるので、就職活動を始めることになると思います。もちろん、今までの経験を確実に活かせるIT系の職場に就きたいとは思いますね。機会があれば、いつか海外に行きたいというのはあります。

―ぜひ、将来の神野教授を目指していただきたいと思いますが(笑)

やりたいことがないなら社会に出る

―それでは、最後に様々なことを経験してきた神野さんから、中途半端な生活を日々過ごしている学生にアドバイスをいただけますか??

やりたいことがなかったり、中途半端な生活を送ったりしているのであれば、一度社会に出ることを勧めますね。自分自身、一度社会人として働いたことで、当時若かったことで見えなかったことも、見えてきたように思えます。おそらく、今ここで「見えてきたこと」を述べても、アドバイスを差し上げている方々には理解できないと思いますので、とにかく行動してみて、そこに存在する多くの出会いを大切にしていくことだと思います。とにかく、大学進学が全てではないと思います。社会から得るものは本当に大きく、価値があるものです。

―神野さんのアドバイスをありがたく受け取らせていただきます。僕も中途半端な人生を送らないよう心掛けます。今日はお忙しいところ、インタビューに協力していただいて、ありがとうございました。

University of Wisconsin-Milwaukee :
http://www4.uwm.edu/

インタビューアから一言

何もないところから、一度社会に出て働くという選択肢を選んだことに脱帽します。そして、その経験を活かし、留学、研究をこなすあたりが、さすがですね(笑) 現在所属されている研究室は、日々とても質の高いものを求められるとのことですが、目標を明確に保ち、次のプロセスへと繋げていってください。これからも、良きライバルとして、友人として、お互い切磋琢磨していきましょう!

interviewees_g_135_2_profile.jpg 池田祐太郎。1987年富山県生まれ。中学1年から高校を卒業するまで、アメリカのOR州に暮らし、Westview High Schoolを卒業。大学受験のため帰国し、千葉大学工学部都市環境システム学科に入学。現在、東京理科大学大学院イノベーション研究科知的財産戦略専攻1年に在籍。「理系」というバックグランドを活かし、「知的財産(権)」のプロフェッショナルを目指す。