帰国子女大学入試・合格体験記vol.62

interviewees_gt_61_profile.jpg 池田祐太郎さん。1987年生まれ。富山県出身。幼少期は国内を転々とし、中学1年から高校を卒業するまで、アメリカのオレゴン州に暮らし、West View High School卒業。大学受験のため帰国し、千葉大学工学部都市環境システム学科に入学。現在、東京理科大学大学院イノベーション研究科知的財産戦略専攻1年に在籍。大学では、プログラミングと情報工学を専攻し、大学院では、「理系」というバックグランドを活かし、「知的財産(権)」に関わる経済、経営、法律など勉学中。

合格までの道のり

私が初めて異国の地に足を踏み入れたのは、中学校の第一学年を修了した後でした。渡航理由は、父親の仕事の都合でした。私一人だけが日本に留まり生活する選択肢はなく、渋々渡航したのを今でも鮮明に覚えています。

日本で生活していた当時は、学業はある程度の成績をキープすることを目指すだけに留まり、本来学業に注ぐべき時間のほとんどをサッカーにあてていました。もちろん、サッカーに多くの時間を割いていたため、選抜チームでプレーする機会もあり、当時はそれなりに充実していたと思います。そして、渡米後、言語や競技への取組み方など、全てが異なったため、プレーする機会を与えてもらえない時期もありましたが、サッカーを中心とした生活は、現地の高校を卒業する直前まで続きました。

10年生から11年生に進級する頃には、父親の日本帰国が決まりつつあることは聞かされていました。日本の大学に進学したいという理由が特別にあるわけでもありませんでしたが、学年を繰り上げ、アーリー卒業することを選択しました。そして、卒業要件分の単位も無事取得し、「何となく」帰国し、「何となく」日本の大学を受験することに決まりました。

帰国後は、予備校の海外帰国生コースにて、中途半端な気持ちで、対策や準備をすることなく受験生を始めました。周囲は受験に対して真剣な姿勢で挑んでいる一方で、私はもちろん結果を出すことができず、●連敗後、年内最後に受験した地方の国立大学に合格をもらうのが限界でした。ただ、この頃ようやく自分の実力を悔い始めたと同時に、この現実を受け入れたくないという気持ちも芽生え、もう1年受験生活を送ることに決めました。

そして、崖っぷち状態だった1年間の受験生活を経て、千葉大学工学部都市環境システム学科に合格しました。

1年目の受験生活を後悔のうちに終え、千葉大学に合格するまでの2年目の受験生活で決定的に異なっていたことが3点あります。

まず、この1年間で、(1)興味を持った対象、私の場合は、後に大学で学ぶこととなった「環境諸問題・都市計画」を、とにかく「理解すること」を目指したことが合格に繋がったと考えます。また、(2)実施・対策事項と、その期限に対する設定を的確に行えたことも効果的だったと考えます。そして、(3)この受験生活のゴールをはっきり見据えていたことが、長い受験生活には重要だったと考えます。

(1)では、千葉大学に入学したことでより明確になりましたが、当時は興味を持ったものの、まだまだ理解の度合いは漠然としていました。それでも、関連書籍を自身で探したり、講師に紹介してもらったり、とにかく読むこと、そして、理解することを心掛けました。理解を深めることで、進学を希望する大学も日々明確になりました。対象に対する理解を身に付けることは、後々良いと思います。まず、「理解すること」で、それだけで十分な受験対策になりうると考えます。

(2)では、興味を持った対象に対して、何を勉強し、それらをどう理解するか、また入試の際にどうアピールするか、アプローチ方法を明確にすることから始めました。次に、その対象を理解するために、自分が収集したツール、先に述べたアプローチ方法を、いつまでに終わらせるかの行動計画をたてました。

行動計画を設定さえすれば、後は(3)で示したこの受験生活のゴールに向けて、行動計画に則り取組むだけでした。

受験を控えている方へ

まず、心の底から受験に挑む覚悟はあるか真剣に考えてみてください。

受験生1年目の私のように、志望する大学がなく、学びたいことがないのであれば、両親を説得してでも、受験をせずにとことんやりたいことをやることをお勧めします。そうでもしないと、高額な予備校費用、受験料、書籍代などをドブに捨てることになります。

現在、私は千葉大学を卒業し、東京理科大学大学院イノベーション研究科知的財産戦略専攻に籍を置き、「知的財産」に関わる研究を日々行っています。私は、大学に入学することで、またそのプロセスで、探求したい事柄を発見することができました。ただ、無理して大学を目指さずとも、何か目指す事柄を発見することは可能だったと考えます。

すでに受験に挑む覚悟がある方は、志望校、興味がある分野、大学在学中に成し遂げたいことがあることと思います。挑む覚悟があり、ある程度受験開始する準備が整っている方々は、まず実施すること、またその期限を設定することが、受験の第一歩だと考えます。大学受験と、大学院受験は異なりますが、私はこの方法で合格しました。

大学での研究、指導を仰ぎたい教授、試験科目、その対策方法、出願期間や出願に必要な書類など、調査可能な項目はとことん調べてみてください。大学のキャンパスに潜り込んで講義を受けてみるのもいいかもしれません。そして、先に述べた調査を含めた実施事項に対して、早めの期限を設定してください。早めの期限設定に則り、実施していくことで、試験直前でも余裕を持って勝負できると思います。余裕を持って、対策していくことで、対策が満足に行えなかった箇所には、後に手厚く対策をし直すことも可能となります。

そして、この受験生活におけるゴールをはっきりさせておくことで、十分な準備ができると思います。白紙に、ゴール「志望大学名」を清書し、いつも視界に入るところに貼り付けておくのも良いと思います。

試験科目に関する対策は、受験を知り尽くしている予備校講師から適切な指導を受けることで十分だと思います。それらを最大限に活かすためにも、「興味の対象の理解」、「取組みに対する目標・期限設定」、「ゴールの見える化」を確実に行えているかどうかに関ってくると思います。

くれぐれも、中途半端な行動はしないことが大切です。