帰国子女大学入試・合格体験記vol.63

yukai_arai.jpg 荒井由佳里さん。1990年生まれ。愛知県出身。高校一年修了時に、アメリカのケンタッキー州に渡る。Larry A. Ryle High School卒業後帰国。09年青山学院大学文学部に入学し、一年間在籍の後、国際基督教大学に再入学する。現在3年に在学。大学では、経済学専攻、経営学副専攻であるが、教養学部のため、心理学も学ぶ。08年創設のアカペラサークルの部長を務める。また、一年次から、学内アルバム製作委員会に所属。作製のみではなく、販売にも力を入れている。趣味の一眼レフカメラを手に学内の四季を追っている。

【はじめに】

日本の大学への進学は、渡米前から決めていました。海外滞在期間が2年3ヶ月と短いこと、また、「日本で最後の学生生活を送りたい!」という想いからです。漠然とした考えはあったものの、大学受験を本気で考え始めたのは、帰国まで一年を切った頃だったので、最後の3ヶ月は大慌てでした。ここで、「考える時間」を十分とらなかったため、大学入学前に立ち止まってしまうという経験をしました。どの道に進むかは、みなさん次第だと思いますが、様々な体験記を読んで、「自分は大学で何をしたいのか?」という問いを、今、してみてください。

【高校時代】

〜現地校〜

「与えられたことをとにかくやる!」 それがモットーでした。授業、宿題、課外活動、すべてにおいて、最大限の努力をしました。短期間で英語力を身につけるためには、とにかく、毎日やるべきことをこなしていくのみと後で実感しました。

本気になれば、滞在年数の壁を超えられます。もちろん、自分一人の力ではありません。先輩、友だち、家庭教師から得たもの、ノウハウが基盤となっています。

勉学以外には、課外活動としてダンススクールに1年半通っていました。息抜きというより、逆に、厳しいことが何度もありました。やりとげる精神をここでも貫くことができたのは、今の自信になっています。

〜補習校〜

週1日の日本人補習校は、1週間の疲れを解放する場でした。他の補習校のように、小論文対策や面接対策は一切ありません。あえて言うなら、情報収集の場でした。すでに帰国した先輩やアーリー卒業をした同年代の友だちから、帰国前にしておくこと、帰国後の入試についての情報を得ることができました。

〜書類関係〜

帰国生入試には、出願の際に提出する書類が多数あり、内容や形式も複雑です。大学により様々で、願書入手後に「足りない!」では遅いのです。私の場合、父親の会社の制度で、2年前の各大学の帰国入試の願書を手に入れることが可能でした。そのような制度がなくても、日本の予備校などに書類について直接問い合わせることも可能です。卒業後、すぐに帰国という方も多いと思いますが、書類関係だけは事前にスケジュールを立て、計画的に手に入れていくのが一番安心です。

〜統一試験対策〜

TOEFL一本勝負でした。事前に受験する大学を決めており、SATはスコアが必要ないので、一度も受験しませんでした。しかし、SATは受けておくべきでした。出願要項に新たに追加される可能性は十分にあったと思います。

SATのスコアに関しては何も言えませんが、TOEFLのスコアは上げておくことに損はありませんし、真剣に取り組んで良かったと思います。滞在年数と比例すると言いますが、長くても短くても、結局は自分次第です。

【帰国受験】

〜リサーチ〜

帰国後、予備校が始まるまでに、大学への資料請求を開始しました。学部で何を学べるのか、その特色は何かなど、大学案内を読み込みました。これは、志望理由作成や面接対策の基盤になりました。

時間があるときはオープンキャンパスにも足を運びました。行かなくてもいいかもしれませんが、私は道に迷いやすいので、試験当日焦らないように、また、写真ではなく、実際の大学を見てみたいという理由で参加しました。大学生活が分かるわけではないですが、雰囲気は分かったように思います。

〜予備校〜

予備校には、過去の受験データが豊富にあります。合格者のTOEFL/SATスコア、面接記録、過去問など。大学によってデータ数に偏りがあるのは確かですが、見ておく価値は十分あります。私は面接がとても不安だったので、データで大学ごとの面接の「色」を見ておくことが対策になりました。

〜スケジュール把握〜

帰国後1、2ヶ月もすれば、出願、受験、面接が押し寄せてきます。大学へ資料請求をした時点で、出願期間や必要書類、受験日、面接日をカレンダーにまとめておきました。残りの期間がどれだけか分かっている方がやる気がでるタイプなので、逆算で「このときまでに志望理由完成させる」、「面接対策はこの期間」と決めて行っていました。

〜受験科目〜

文系科目として、小論文、現代文、英語に取り組みました。中でも、小論文に一番力を入れていました。小論文を書くこと自体、全く慣れていないことだったので、初めの方の成績は最悪でした。小論文に取り組むにあたって、気づいたことは「自分のバカさ」です。いかに自分には当たり前の発想しか持っていないかを、最初の1回で自覚しました。

それから、受け取った資料は最低限のものとして吸収し、参考文献も読み、毎日のように小論文を書き直していました。「ネタノート」をつくり、題材によって自分の思考をまとめていました。内容によって出来はバラバラでしたが、小論文の組み立て方、考え方は獲得していきました。

現代文でも、時事問題を、小論文同様に「自分は何をどう思うか」を組み立てて、「ネタノート」にまとめていました。

英語では、和訳問題に力をいれていました。必ず訳さなければいけないポイントを覚え、帰国生にありがちな「ニュアンスで訳す」をいかに克服するかが課題でした。あとは、単語の暗記量が足りなかったと感じています。

【再受験】

〜立ち止まり〜

10月下旬に合格発表、11月上旬には青山学院大学文学部英米文学科への入学手続きを終えていました。しかし、年が明けたころから、「なぜこの大学に行くのか」という問いが頭から離れなくなりました。

文学関係の書物を何冊も読んでいましたが、自分がこの先、○○文学概論を学んでいくことに何の魅力も感じなくなっていました。帰国前、受験期間中と、すべてを機械的にこなすのみで、本当に自分が何をやりたいのか、それを考えていなかったのです。気付いたときには遅すぎました。

〜目標設定〜

大学で何を学びたいのか。確かに、大学で学ぶことは、専門家の足下にも及ばない程度の知識です。しかし、自分の視野を広げることは可能だと思います。その視野を広げる方向が、私にはまだ定まっていませんでした。

将来の夢や興味は変わることもあります。浅い知識ならせめて「広く浅く」を目指したいということで、国際基督教大学に再入学することを決めました。帰国生入試の受験資格もギリギリ範囲内でしたので、在学しながら小論文対策に再び取り組み、一年次前期の最後の週には合格が決まりました。

【アドバイス】

一度決めたら振り返らないという強い意思をもっている人もいると思います。しかし、それは十分考えてから決めたものでしょうか。合格のゴールの先は何か。それをこの機会にぜひ考えてみてください。そのために必要なら、現在の時間を未来に投資するつもりで取り組んでみてください。

Larry A. Ryle High School :
http://www.ryle.boone.kyschools.us/
シンシナティ日本語補習校 :
http://www.jls-cincinnati.edu/